もちづ記

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エンジニアが新卒一年目に読んでよかった本10選

概要

お久しぶりです、望月です。
なんか毎年3月末にしかブログを書いていない気がします。昨年はいろいろありましたね。
私は卒業旅行のつもりだったイタリアでの某学会が中止になったショックから、某Web企業でソフトウェアエンジニアとかデータエンジニアとして働きつつも、基本的に家で虚無な時間を過ごしていました。
どうせ虚無ならもっと本は読んでおけばよかった感じがしたので、しばらくリモートが続くであろう21卒以降に向けて、今年度読んだオススメ本を記載しておきます。
他にもいい本はいっぱいありましたが、10選ということでなるべくマニアックなのを選んだつもりです。

(想定する) 対象読者

  • 大規模システムの構築やデータ活用に興味のある学生・エンジニア
  • HCI関連の研究をしている学部・修士学生

読んでよかった本10選

1. データ指向アプリケーションデザイン

大規模なトラフィックを砂漠システムにおけるデータの扱いに必須となるシステムについて、かなり詳しく書かれている本です。
OJT期間中に読み、特にバッチ処理やストリーム処理、分散データベースシステムの仕組みについて経験不足だったところを補えたと思います。
この本を理解できれば後数年は関連領域でエンジニアをやっていける気がするので、時折読み返したりしたいと思います。(ちゃんとメモにまとめないと忘れる気がする... )
660ページと分厚いので、ノートPCを置く台にもしてました。


2. ビッグデータを支える技術

  • 著者: 西田 圭介
  • 出版社: 技術評論社
  • 出版年: 2017年9月
  • 定価: 3256円

ビッグデータを蓄積してから分析・可視化するまでを一気通貫で概説している本です。
自社で使っていない技術も含めて、データエンジニアとして働く上で必要な知識を身に付けるのに役立った気がします。
1. の副読本として使えます。
(タイミング悪く今年増補版が出たらしい...

3. Kaggleで勝つデータ分析の技術

  • 著者: 門脇 大輔, 阪田 隆司, 平松 雄司
  • 出版社: 技術評論社
  • 出版年: 2019年9月
  • 定価: 3608円

有名ですね。同期はみんな読んでました。
自分はKaggleをあまりやらないですが、サイエンス職の方と仕事で関わる機会も近日中にありそうなので、エンジニアとしてこの本に書かれていることぐらいは理解できないとまずいなと感じました。
(これからは細かい職種関係なく、この辺の内容はIT企業では一般教養みたいになっていきそうですねー...)
コードが豊富だったり解説も丁寧なので、ほぼ文系な自分にも離脱せずに完読できました。コンペじゃなくても開発に応用できたらと思っております......


4. 入門 監視 - モダンなモニタリングのためのデザインパターン

言わずとしれた名著です。
監視の大切さは個人開発ではあまり理解できていなかったので、入社してから読んでよかったと思います。
メトリクスの扱いや、アラートを出すタイミング=事故発生時など今思うと根本的なことが記述されてますが、学生時代だとこれを読んでも何でも出力してたか、何も出さずprintデバックしてた気がします。
事故対応とかも最初はヒヤヒヤしましたが、新卒としてヤンチャが許される時期にやっといたほうがいいですね( 皆さんもヒヤリハットしていきましょう。


5. ソーシャルメディア論・改訂版 つながりを再設計する

  • 著者: 藤代 裕之
  • 出版社: 青弓社
  • 出版年: 2019年2月
  • 定価: 1980円

ソーシャルメディアを取り巻く法律やパラダイムの歴史、現状、将来の展望について、大学の教科書っぽい感じでトピックをまとめている本です。
配属先でメディアサービスに関わっていたので、ドメイン知識をつけるために読んでみましたが、現状を中心に客観的にまとめている印象があり、抵抗感なく読めました。
evilなことはあまりしたくないので、担当プロダクトが日本にどういった影響を与えるかは把握しておきたい所存です。

6. 不便から生まれるデザイン: 工学に活かす常識を超えた発想

  • 著者: 川上 浩司
  • 出版社: 化学同人
  • 出版年: 2011年9月
  • 定価: 1870円

あえてプロダクトに不便な部分を残す「不便益」という観点から必要なプロダクト・インタフェースデザインをエッセイ的に議論している本です。
学術的というよりもエッセイの印象が強いですが、なんでも自動化・ブラックボックス化したがる2020年代に読むと気づかされれることが多いですね。
「あえて操作してもらう」ことで自己帰属感を高める手法は、特にエンタメ系よりのプロダクトを開発するときに意識しておきたいなーと思います。

7. クリエイティヴィティ - フロー体験と創造性の心理学

  • 著者: Mihaly Csikszentmihalyi
  • 出版社: 世界思想社
  • 出版年: 2016年1月
  • 定価: 3520円

大学の図書館にありましたが、表紙が宗教っぽくて敬遠してた本です。
各分野のプロフェッショナルにおける定性的な分析に基づき結論まで出すので少し違和感を覚えますが、「創造的な人」とは何かについて詳しく書かれています。
例えば、「創造的な人は両極的な性格を持っている」という観点は言われてみれば... という感じで納得できたりもします。フロー状態にあるのが一番いいのはわかりますが日本企業だとMTGが多くてなかなか難しそうですね。
また、「散歩などのときに蓄積された知識が紐づいてアイデアとなる」のような記述があり、朝の散歩をルーティン化するなど、コロナ禍の自分の行動に少なからず影響を与えた本です。

8. 創るためのAI 機械と創造性のはてしない物語

  • 著者: 徳井 直生
  • 出版社: ビー・エヌ・エヌ
  • 出版年: 2021年1月
  • 定価: 2860円

最近はGANとかを使ったアートが溢れていますが、生成物をアートと見做すのではなく「機械学習と共にアートを創る」というmixed-initiativeなアプローチに着目して事例や今後の展望などを紹介している本です。装丁がおしゃれだったのでジャケ買いしました。
自分は大学院で情報可視化の観点から、人間の認知能力と機械学習を活用するシステムを作ってましたが、アートとか創造性の領域もやりたかったなーと思わせてくれました。
著者の経歴もあってか音楽に関する事例が多く、「○○にxxを歌わせる」みたいなシステム(JukeBox) は現時点で結構クオリティが高かったりもしたので、今後の展開が楽しみにもなりました。

9. 情報検索のためのユーザインタフェース

  • 著者: Marti A. Hearst
  • 出版社: 共立出版
  • 出版年: 2011年4月
  • 定価: 6270円

主に検索システムから「情報を獲得する」ためのインタフェース技術をかなり詳しく記述しています。お値段はしますが社会人になってお金が貯まったので買えました。
かなり古い本ですが、著者が可視化ではかなり実績がある方なこともあり、本質的なものは未だに活きていそうです。
(出てくるグーグルとかヤフーのインタフェースが懐かしくて良い)
情報要求とクエリの連続的変化 (ベリー採集モデル) は前から気になってはいますが、うまく実現できてるサービスをあまり見かけないのでなんとか実現できたらなー... と思います。
「複雑な可視化による情報探索は一般層には浸透しない」みたいな記述がある後半部分は、プロダクトアウトになりがちな自分に取ってはたまに読み返したいですね。


10. Information Dashboard Design: Displaying data for at-a-glance monitoring

  • 著者: Stephen Few
  • 出版社: Analytics Press
  • 出版年: 2013年8月
  • 定価: 4618円

一冊ぐらい洋書を入れてみようと思います。ダッシュボードに必要な可視化のなんたるかを、アンチパターンやベストプラクティスの観点からまとめている本です。著者はブレットグラフを考案した人ですね。
細かい英語のニュアンスはわからないですが、アンチパターンの部分ではダメなダッシュボードを結構こき下ろしていて面白いです。e.g., なぜお前は車の運転席のメタファを使うのか??
可視化はある程度経験があってもやりがちなミスが多く (分析とダッシュボードで求められている要件が違うことにも起因する)、それらについても丁寧にまとめられているので、業務でTableau使う際に非常に役立ちました。個人的にはGoogle流資料作成術とかよりも早く日本語で出して欲しかった本です。和訳の仕事があったらやります。


おまけ: 小学1年生 2021年 4月号

ドラえもんの目覚まし時計がついてきます、朝起きるのがつらい新卒諸君は買いましょう。

ドラの時計

おわりに

思ってたよりはいろいろ読めた気がします。ヒマだったのと会社で書籍購入補助があるおかげですね。
業務内容の振り返りとかは余裕があればブログにしたいと思ってますが、人と話したい気持ちがあるので気になる方は@mottteyにDMください。

読みたい本はまだまだあるので、ウィッシュリスト から買ってくれると嬉しいです。