もちづ記

1年おきぐらいで更新したい

エンジニアが新卒一年目に読んでよかった本10選

概要

お久しぶりです、望月です。
なんか毎年3月末にしかブログを書いていない気がします。昨年はいろいろありましたね。
私は卒業旅行のつもりだったイタリアでの某学会が中止になったショックから、某Web企業でソフトウェアエンジニアとかデータエンジニアとして働きつつも、基本的に家で虚無な時間を過ごしていました。
どうせ虚無ならもっと本は読んでおけばよかった感じがしたので、しばらくリモートが続くであろう21卒以降に向けて、今年度読んだオススメ本を記載しておきます。
他にもいい本はいっぱいありましたが、10選ということでなるべくマニアックなのを選んだつもりです。

(想定する) 対象読者

  • 大規模システムの構築やデータ活用に興味のある学生・エンジニア
  • HCI関連の研究をしている学部・修士学生

読んでよかった本10選

1. データ指向アプリケーションデザイン

大規模なトラフィックを砂漠システムにおけるデータの扱いに必須となるシステムについて、かなり詳しく書かれている本です。
OJT期間中に読み、特にバッチ処理やストリーム処理、分散データベースシステムの仕組みについて経験不足だったところを補えたと思います。
この本を理解できれば後数年は関連領域でエンジニアをやっていける気がするので、時折読み返したりしたいと思います。(ちゃんとメモにまとめないと忘れる気がする... )
660ページと分厚いので、ノートPCを置く台にもしてました。


2. ビッグデータを支える技術

  • 著者: 西田 圭介
  • 出版社: 技術評論社
  • 出版年: 2017年9月
  • 定価: 3256円

ビッグデータを蓄積してから分析・可視化するまでを一気通貫で概説している本です。
自社で使っていない技術も含めて、データエンジニアとして働く上で必要な知識を身に付けるのに役立った気がします。
1. の副読本として使えます。
(タイミング悪く今年増補版が出たらしい...

3. Kaggleで勝つデータ分析の技術

  • 著者: 門脇 大輔, 阪田 隆司, 平松 雄司
  • 出版社: 技術評論社
  • 出版年: 2019年9月
  • 定価: 3608円

有名ですね。同期はみんな読んでました。
自分はKaggleをあまりやらないですが、サイエンス職の方と仕事で関わる機会も近日中にありそうなので、エンジニアとしてこの本に書かれていることぐらいは理解できないとまずいなと感じました。
(これからは細かい職種関係なく、この辺の内容はIT企業では一般教養みたいになっていきそうですねー...)
コードが豊富だったり解説も丁寧なので、ほぼ文系な自分にも離脱せずに完読できました。コンペじゃなくても開発に応用できたらと思っております......


4. 入門 監視 - モダンなモニタリングのためのデザインパターン

言わずとしれた名著です。
監視の大切さは個人開発ではあまり理解できていなかったので、入社してから読んでよかったと思います。
メトリクスの扱いや、アラートを出すタイミング=事故発生時など今思うと根本的なことが記述されてますが、学生時代だとこれを読んでも何でも出力してたか、何も出さずprintデバックしてた気がします。
事故対応とかも最初はヒヤヒヤしましたが、新卒としてヤンチャが許される時期にやっといたほうがいいですね( 皆さんもヒヤリハットしていきましょう。


5. ソーシャルメディア論・改訂版 つながりを再設計する

  • 著者: 藤代 裕之
  • 出版社: 青弓社
  • 出版年: 2019年2月
  • 定価: 1980円

ソーシャルメディアを取り巻く法律やパラダイムの歴史、現状、将来の展望について、大学の教科書っぽい感じでトピックをまとめている本です。
配属先でメディアサービスに関わっていたので、ドメイン知識をつけるために読んでみましたが、現状を中心に客観的にまとめている印象があり、抵抗感なく読めました。
evilなことはあまりしたくないので、担当プロダクトが日本にどういった影響を与えるかは把握しておきたい所存です。

6. 不便から生まれるデザイン: 工学に活かす常識を超えた発想

  • 著者: 川上 浩司
  • 出版社: 化学同人
  • 出版年: 2011年9月
  • 定価: 1870円

あえてプロダクトに不便な部分を残す「不便益」という観点から必要なプロダクト・インタフェースデザインをエッセイ的に議論している本です。
学術的というよりもエッセイの印象が強いですが、なんでも自動化・ブラックボックス化したがる2020年代に読むと気づかされれることが多いですね。
「あえて操作してもらう」ことで自己帰属感を高める手法は、特にエンタメ系よりのプロダクトを開発するときに意識しておきたいなーと思います。

7. クリエイティヴィティ - フロー体験と創造性の心理学

  • 著者: Mihaly Csikszentmihalyi
  • 出版社: 世界思想社
  • 出版年: 2016年1月
  • 定価: 3520円

大学の図書館にありましたが、表紙が宗教っぽくて敬遠してた本です。
各分野のプロフェッショナルにおける定性的な分析に基づき結論まで出すので少し違和感を覚えますが、「創造的な人」とは何かについて詳しく書かれています。
例えば、「創造的な人は両極的な性格を持っている」という観点は言われてみれば... という感じで納得できたりもします。フロー状態にあるのが一番いいのはわかりますが日本企業だとMTGが多くてなかなか難しそうですね。
また、「散歩などのときに蓄積された知識が紐づいてアイデアとなる」のような記述があり、朝の散歩をルーティン化するなど、コロナ禍の自分の行動に少なからず影響を与えた本です。

8. 創るためのAI 機械と創造性のはてしない物語

  • 著者: 徳井 直生
  • 出版社: ビー・エヌ・エヌ
  • 出版年: 2021年1月
  • 定価: 2860円

最近はGANとかを使ったアートが溢れていますが、生成物をアートと見做すのではなく「機械学習と共にアートを創る」というmixed-initiativeなアプローチに着目して事例や今後の展望などを紹介している本です。装丁がおしゃれだったのでジャケ買いしました。
自分は大学院で情報可視化の観点から、人間の認知能力と機械学習を活用するシステムを作ってましたが、アートとか創造性の領域もやりたかったなーと思わせてくれました。
著者の経歴もあってか音楽に関する事例が多く、「○○にxxを歌わせる」みたいなシステム(JukeBox) は現時点で結構クオリティが高かったりもしたので、今後の展開が楽しみにもなりました。

9. 情報検索のためのユーザインタフェース

  • 著者: Marti A. Hearst
  • 出版社: 共立出版
  • 出版年: 2011年4月
  • 定価: 6270円

主に検索システムから「情報を獲得する」ためのインタフェース技術をかなり詳しく記述しています。お値段はしますが社会人になってお金が貯まったので買えました。
かなり古い本ですが、著者が可視化ではかなり実績がある方なこともあり、本質的なものは未だに活きていそうです。
(出てくるグーグルとかヤフーのインタフェースが懐かしくて良い)
情報要求とクエリの連続的変化 (ベリー採集モデル) は前から気になってはいますが、うまく実現できてるサービスをあまり見かけないのでなんとか実現できたらなー... と思います。
「複雑な可視化による情報探索は一般層には浸透しない」みたいな記述がある後半部分は、プロダクトアウトになりがちな自分に取ってはたまに読み返したいですね。


10. Information Dashboard Design: Displaying data for at-a-glance monitoring

  • 著者: Stephen Few
  • 出版社: Analytics Press
  • 出版年: 2013年8月
  • 定価: 4618円

一冊ぐらい洋書を入れてみようと思います。ダッシュボードに必要な可視化のなんたるかを、アンチパターンやベストプラクティスの観点からまとめている本です。著者はブレットグラフを考案した人ですね。
細かい英語のニュアンスはわからないですが、アンチパターンの部分ではダメなダッシュボードを結構こき下ろしていて面白いです。e.g., なぜお前は車の運転席のメタファを使うのか??
可視化はある程度経験があってもやりがちなミスが多く (分析とダッシュボードで求められている要件が違うことにも起因する)、それらについても丁寧にまとめられているので、業務でTableau使う際に非常に役立ちました。個人的にはGoogle流資料作成術とかよりも早く日本語で出して欲しかった本です。和訳の仕事があったらやります。


おまけ: 小学1年生 2021年 4月号

ドラえもんの目覚まし時計がついてきます、朝起きるのがつらい新卒諸君は買いましょう。

ドラの時計

おわりに

思ってたよりはいろいろ読めた気がします。ヒマだったのと会社で書籍購入補助があるおかげですね。
業務内容の振り返りとかは余裕があればブログにしたいと思ってますが、人と話したい気持ちがあるので気になる方は@mottteyにDMください。

読みたい本はまだまだあるので、ウィッシュリスト から買ってくれると嬉しいです。

修士になりました

はじめに

世間は大変なことになっておりますが, 先日大学院の博士前期課程を修了し, 修士 (工学) の学位を取得しました.
丁度 就活エントリ を書いてから1年経ったので, 学部及び大学院生活を振り返ってみたいと思います.
各トピックについて覚書を羅列しているだけの記事なので, 暇だったらちょくちょく修正するかも知れません.

想定する読者

以下のような人に読んで欲しいなと思って書いています.

  • 高専から大学編入, 大学院進学を考えている人
  • 大学でHCI, UIに関する研究をしたいと考えている人
  • 陰キャ

大学編入

私は某高等専門学校より2016年度に某国公立大学編入しました. 編入試験に関する詳細は別の記事に書いてたんですけど, はてなグループが潰れたので今見れません.......
*1

わりと興味あった某波某学の情報メディア創成学類に落ちたので, もうちょっと偏差値の低い某国立大の某学科に編入しました. 通信工学と情報工学をバランスよく学ぶことを目的として設立された (実際バランスがいいかというと...) 学科です.

授業

自分は高専時代とあまりカリキュラムが違わない学科に編入したので, 単位認定時に不利にはなりませんでしたが, それでもB4で研究に打ち込むためにはB3で50単位程度履修する必要がありました, 特に前期は試験が一週間に11科目ほどあったので, 編入試験前よりもちゃんと勉強していた気がします.
しかし, 工学系の学部では専門科目の試験は一般教養と異なり, そこまで難しくはないため, 授業のレジュメを理解していればある程度の成績は取れると思います.
この点が, 後述の研究室配属も含めて編入生の利点だとも言えます.

単位認定に関しては, 入念にチェックしても漏れがありB4で教養科目を取る羽目になったので, 不安な人は編入経験者の先輩や同期, 教務委員の教授に相談した方が良い気もします.

サークル

サークルには入った方がいいです. むしろサークルに入らないとマジで編入生以外の知り合いできないと思います.
自分はゲーム製作サークルという, 高専卒のメリットが活かせるところに入りました *2が, ゴリゴリの運動部でなければ任意のサークルが受け入れてくれると思います. 実際に同期の編入生の中では運動系のサークルに入ってた人もいます.
新歓時期にB2の人との会話が気まずくなるのに耐えられれば, 知り合いもいっぱいできるし友達も多分できます. 恋愛は..........

アルバイト/インターン

学部は履修数の都合からあまりやってなかったですが, B4から高専の人 *3の紹介で, 某スタートアップ企業でB2B向けのGUIアプリケーションの開発をしていました. 上京した当初はカフェバイトしようとしてました
開発言語や内容がスキルセットとも合致していたことや, シフトを柔軟に入れられたこともあり, 研究において負担にはならなかったです.
むしろ, 研究で煮詰まった時の気分転換にもなるので, エンジニアやりたい人は開発系のバイトやインターンへの挑戦をオススメします.
研究職とかD進への志向が強い場合には, 教授にそれ系のインターンを斡旋してもらうとか, 学会とかでオファー受けるなどできる限りの努力をした方が良いかも知れません.
短期インターンではB3の夏にピクシブに行きました, ずっと使ってきたサービスだったので学部で一番思い出深いかも知れませんね.

研究室配属

編入生は修士に進学する場合, 在学期間の大半を研究が占めるわけで, その選択は慎重になった方が良いと思います.
自分は, 研究室の顔ぶれである程度編入試験を受験する大学を絞り込んでいました. そして, 編入後は候補の研究室を主宰している教授の授業をとったりして, 実際の研究内容や教授の人格とかを判断してました. 編入だと各研究室の評判を知りづらい場合もあるので, サークルで情報集めるなりアポ取ってみにいくなりしましょう.
学部時代は余裕がなくてできませんでしたが, ゴリゴリ研究したい人は研究室ごとの過去の発表文献を見たり, 科研費とかを調べるといいと思います. 学生一人が国際会議に行ける回数は予算で決まるので, 旅行行きたい人は予算が潤沢なところがいいと思います. (金あるところは忙しいけど)

弊学ではGPAが研究室へ配属基準でした. 前述の履修もあり, 編入生はGPAがわりと高くなる*4ので第一志望の研究室に行けました.
研究室/テーマは学部と大学院で共通なので後述します.

高専と大学の違い

世間では "高専生は優秀である"という言説をよく見かけますが, これに関しては"優秀な高専生は優秀である"としか言えないなと感じました.
自分は高専時代は技術的に秀でた部分は無かったので, 現時点での実務的スキルの大半は学部時代のインターン, アルバイト, そして研究で身につけた面が強いです.
また, ちゃんとセンター試験を受けて大学に進学した内部生の方々は, 特定の目的に対する粘り強さや, 基礎勉強に対するモチベーションがとても高い印象を受けました. この能力は, 特に機械学習などを学ぶにあたり必須だと思います. 自分は数学ができないのに理系に進んじゃっちゃことを後悔してます...
それに対して自分を含めた高専生はテストを乗り切れば進級できるし, 選ばなければ進学/就職も容易であるため, 小手先での解決手段を取ってしまう傾向がある印象を受けました (うちの出身高専ぐらいかも知れない).
今振り返ってみると, そんな欠点を補うために, 自分はHCIのような応用研究を志願した面もある気がします.

大学院

進学にあたって

大学編入時から, "せっかく大学に編入したのだから, 研究を頑張ってみよう"とは思っていたので, 進学の意思は変わりませんでした.
受験は学部と同じ大学の, より情報よりの研究を行う学科を内部推薦で受験しました. 近年は情報系を志望する学生も多いので, 外部受験だと普通に落ちます. 試験問題を雑に解いてみた感じ, 自分も外部受験だったら落ちていたと思います.
特にTOEICで差がつく*5イメージが強いので, 前々から対策しましょう.

授業

内容がより情報科学中心になったことや, 卒業に必要な単位数も学部よりは少ないため, 負担はあまり無かった印象です. 必修の縛りで内容が画一化しやすい学部の授業と比べて, 教授の専門に内容が大きく依存するため, 当たりはずれは大きいですが, 研究が忙しくなければ熱心に取り組むと学べることは多いと思います.
また, 学部と違い履修に余裕があるので, 他学科の授業も興味があれば受けてみたら面白かったです.
リーダブルコードの原著をひたすら読む授業とかありました. 研究の息抜きにもオススメします.

また, 学部と違って大学院では研究室にいる時間がメインになり, 合間に教室へ授業受けに行く感じになります.
研究室に来れば家ほどは遊ばないので, 真面目系クズの人は来た方がいいと思います. 夏は涼しいし冬はあったかいです.
ですが, 放置系の研究室だったので室内はスパースでした. そうするとあまり自宅と変わらなくなっちゃいましたね...
ちゃんと研究したい場合はコアタイムがあったり, 常駐メンバーが多い研究室行った方が良さげな気がします.

研究テーマ

研究室は学部と同じく, 情報可視化や情報推薦などの, 情報科学の諸技術を人間側から支援する方法論について研究しているところです.
研究テーマはデータの探索的分析を支援するための情報可視化について, 可視化インタフェースの実装やユーザ実験による有効性検証を行っていました.
情報可視化は国内だと研究分野としてのプレゼンスは低いですが, 海外では専門のトップカンファレンスが3つあるほどにメジャーなテーマです*6.
高専の頃は創造性支援に関する研究をしていましたが, データマイニングにも興味があったので, 丁度いいテーマ選択だったと思います.
研究室によって所与のテーマから選択するところと, 自分で考えるところで差がありますが, 弊研究室は両者の中間ぐらいで, 与えられたテーマを学生の裁量で発展させる感じでした.
最終的な研究のメインではありませんが, 創造性支援のアプローチを可視化に採用したりもでき, 開発面はいろいろ試せて面白かったです.

学会発表

研究成果としては以下のような感じです. インターンやアルバイトを頑張ってない大学院生の中では平均ぐらいだと思います.

  • 論文誌: 1件
  • 国際会議 (査読あり): 3件
  • 国内会議 (予稿あり): 3件
  • 国内会議 (ポスター/共著など): 6件

終わりの見えない研究を進めるにあたっては, いかに節目ごとのモチベーションを確保するかが重要な気がします. 友達や彼女が多ければ旅行とかデートでもいいと思います. 自分みたいな陰キャは学会とかでの旅行でそれを満足し, 何とか乗り越えられました.

発表する学会を決めるとそれを前提に研究のスケジュールを半年-1年単位で組めます. 採択されれば就活の面でもうまく働く気がします. 特に, HCIの研究は人に見せないとシステムの強み/弱みはわからないと思うので, 教授が許してくれる限り発表をしましょう. その際に, JSAIやISPJの全国大会のような広く浅くな研究領域を扱う学会よりも, WISSやインタラクションのような専門分野の方と議論ができる環境に出すのが良いと思います. 国際会議でも, 査読コメントは研究分野に特化した学会ほど有益なものだったので, (あれば) 出来る限りスコープの狭いトップ会議に出しましょう. 研究室にとってはWorkshopでも投稿許してくれる場合もあるので, そういうのもアリかもしれないです.

また, 国際会議では南米などかなり珍しい場所に旅行できたので, その後の人生において非常に有益だったと思います. 旅行については内容が豊富で別途エントリを書くかも知れないでので省略します.
卒業間際に行くはずだった学会は残念ながらCOVID-19の影響で中止になってしまったので, その開催地へは就職後に休みが取れたら行ってみたいなと思います.

一番能力が付いたと感じたのは英文ジャーナルの執筆です. ジャーナルは査読を経て掲載されますが, 一部のトップカンファを除く国際会議とは異なり, 査読はレビュアーの指摘に合わせて原稿を"必ず"修正する必要があります. 修正結果は返信文としてレビュアーに送付する必要があり, 英語の表現も含めて入念に議論を行った記憶があります.
10ページ程度にそれまでの自身の成果を詰め込むために, 推敲を重ねた経験は修論執筆時にも役に立ったほか, 採択された事実は研究内容に対する自信にもなっていくと思います.
有効性が検証が難しいHCI分野の研究は査読システムにより一定の安全性が保たれていると思うので, 今後何かしらで恩返しできたらとは思っております.

就活

詳細は前述の就活エントリに書いてあります. 20卒でしたが, 想像していたほどハードではなかったです.
工学系の場合, 研究に関することが喋れれば, あとは相手先企業とのマッチングが重要だと思いました.
皆さんはインターネットを使えると思うので, 情報はあらゆる手段を使って集めましょう. 足を使えるともっと集まります.
就活中や入社後にストレスたまらないのが一番重要だと思うので, 自身が一番快適に過ごせる環境を探しましょう.
来年度以降は大変かも知れませんが, 持てる限りの情報を駆使すればなんとかなる気もします.

生活の変化

大学院では学部と比べて人と会わなくなります. 特に放置系の研究室だとそれはより顕著で, 学部時代の知り合いなども事前に予定を組まないと会う機会が減ってしまいます. 自分は学部時代よりも田舎 *7に引っ越したせいもあり都心に出る気も起きず, 休日もどこにも行かずに偏執的に論文をサーベイし続けていました. 就活やってた時はそれに加えて安い酒*8と安いつまみ*9を摂取していたため, 内定先の健康診断でコレステロール異常になっちゃいました.
精神を病むM/Dの人が多い理由も分かった気がします.
(聴衆の興味や質疑の内容に雲泥の差があります...)

また, これから大学院に進学する人は, 学部時代/高専時代のつながりを大事にした方がいいと思いました. 陰キャだとかなりさみしい感じになっちゃいます.

修論

前述の学会発表や論文誌のストックがあったので, 執筆自体はそこまで負担ではなかったです. 参考までにM2の修論に関するスケジュールは次のような感じでした.

  • 4月: M1までのサーベイ結果に基づき, 最終的なインタフェースの設計を行う, 学部とM1の成果を論文誌に投稿
  • 5月: インタフェース実装
  • 6月: インタフェースの実装を完了する, 実装内容を国内学会で発表
  • 7月: 実データを用いた研究室内におけるケーススタディ (定性的評価)
  • 8月: 研究室外に協力してもらうケーススタディ -> 失敗, 論文誌の査読結果に対応する
  • 9月: ケーススタディに基づくインタフェースの修正, ここまでの研究成果の国際会議への投稿
  • 10月: インタフェース実装の完了ユーザ実験による定量的評価
  • 11月: 実験結果の集計, 研究アプローチの再検討
  • 12月: 修論執筆, 国際会議の査読結果への対応
  • 1月: 修論執筆完了, 発表資料作成
  • 2月: 修論発表

学会発表をマイルストーンとすればわりと遅れなしにできる気がします. 実験やケーススタディは絶対予想通りに進まないので, 余裕を持ってスケジュール設計しましょう. 特に情報可視化に関する研究では, 有効性をパフォーマンスだけでなく"可視化から実際に知見が得られたか"について定正的に評価する必要があるため, 実験に協力いただく方にも負担を課してしまいます.

また, 特に情報可視化分野の研究では, インタフェースとしての新規性と, 支援対象となるユーザにとっての有効性が重視されます.
期間が限られる修士の研究では様々なアイデアを並行して実装する余裕はなく, また, 学生の主観のみで有効性を判断するのは危険です. そのため, M1までに網羅的にサーベイを行うと, 終了間際にインタフェースを大きく改変するリスクが防げるので有益と思います*10. サーベイを通じて研究に関するアイデアが得られるメリットもあります.
自分は3年間でアブストを300-500本読み, うち150本程度を精読しました. 2ページ程度のポスター予稿も含む数なので, 研究頑張りたい人はもっと読んだ方が良さげです. サーベイ結果はmendelayや.mdファイルとかにまとめとくと論文書くときに参照しやすくて便利です. 学部で理解できなかった論文が, M2ですごい重要だったと判明する場合もあるので, 少しでも読んだやつはメモ残しとくと良いです.

修論執筆に際して, 分量は研究室によって違うと思いますが, HCI系の研究ではユーザ実験をやるので, ページ数が膨大になる傾向があります.
図や表への参照も増えるため, 絶対TeXを使って書きましょう.

修士を取得して

今後, 学科の新設などに伴い情報系の修士は増えていくこともあり, 学位の所有自体に価値があるとは思いませんが, 何かしらに3年間集中して取り組んだことに関しては, 高専本科や学部のみでは得られなかった誇らしさを感じております.

今後として, 4月からはWeb系企業でエンジニアをやります. どちらかと言えば研究開発的なアプローチで働きたいと思いますが, HCI系の研究職が国内でポピュラーでないことや, 配属ガチャがありそうな都合から, 将来については運用でカバーしても遅くはないのかなと思います.
諸般の事情により, 博士進学は断念しました. しかし, 今後やりたい仕事はPh.Dの所有がメリットとなる内容なので, 就職後も20代のうちぐらいはアカデミアとはある程度の距離感を保ちたいと感じています. 例えば, 2021のCHI (横浜)には何らかの手段で参加したいなと考えてます.
また, Dへの進学経験がある方からもいろいろ伺いたいなとも思います. オファーください...

おわりに

雑多な内容になってしまいましたが, どなたかの参考になれば幸いです.
文中でぼかした固有名詞の内容や, 質問, 感想はtwitter (@motttey)にDMください. 卒業祝い/就職祝いをウィッシュリストよりお待ちしています.

*1:ジオシティ●ズとかもそうですが, なるべくインターネットから情報を消さないで欲しいんですけどね!

*2:Unityでゲーム作って学祭で発表する

*3:@cllightz

*4:3.5超えるぐらい

*5:近年では東大/東工大以外でも800は必要かも

*6:Eurovisという会議の参加報告

*7:都心から1時間程度

*8:ストゼロ, 99.99

*9:OKで買った天ぷら

*10:サーベイに関して伊藤先生のスライドがとても参考になります

就活に関して

はじめに

最近, G社へ入る方法や, 新卒800万が話題になっていますが, 世の中の大半はそれに該当しない筈です. そのため, おそらく中の下ぐらいのスペック (後述)を持つ者として, 就活の経緯を報告することは, 誰かしらの役に立つと考え, 本記事を執筆します. 記事の内容の信憑性は一切保証しません. また, 適宜修正追記する可能性があります.

そんなレベル高くない大学院の陰キャです. 同様のエントリを書く学生の皆様がよくスペックに挙げる "競プロ/Kaggle/未踏/技術書執筆/その他何らかの受賞経験" みたいなものは一切ないため, "市場価値の高い学生"ではないと思っています.

本来UI/UXに興味があり, 学部自体はUI/UXデザイナーやフロントエンドエンジニアを目指していました. しかし, 研究室配属以降, 人とコンピュータの関わり方を根本的に改善するための方法論自体を考え, プロダクトとして実装する研究開発的な業務に携わりたいと考えるようになり, それを軸として情報収拾を行っていました.
理想的には外資系ソフトウェア企業 e.g. Microsoft での研究開発業務に携わりたかったのですが, 語学力/技術力の問題から厳しいので, 将来的にそれらへの転職も想定できる, Web系や国内Webサービス, ソフトウェア企業も視野に入れていました.

現在は国内Web系企業A社の研究開発系業務のエンジニアとして内々定をいただき, 就活を終了しています. Webには個人サイト時代からネトゲ, ブログ, SNSと自分の10代を全て捧げたと言っていいほど依存してきたので, その業界に行くのは必然なのかもしれません

スペック

  • 学歴: 某高専 -> 大学編入 -> 同大学院修士課程 M1 情報系学科
  • 研究分野: HCI, 情報可視化
  • 研究実績: 国際会議 2本 (top confのposter, 2nd tierのpaper), 国内4件
  • 使用技術: C++, C# (WPF, Unity), Python, R, Ruby, JavaScript (jQuery, D3.js, Vue.js), PHP
  • 資格: TOEIC 700点台後半
  • 趣味: ドラえもんのイラストを描く, 音楽鑑賞

インターン

学部在籍時より, インターンは積極的に応募しました, 選考を通り, 実際に参加した1週間以上のインターンは以下の通りです. 本選考ではないため, 落ちてもあまりヘイトが募らないし (本選考より祈られた社数は多い), インターンに行ったことが就活時の精神的支柱になるため, 後輩の皆さんはドシドシ応募しましょう.

使用サービス

以下のようなサービスを情報収集やエントリーに活用してました.

サポーターズ

Web系就活生はみんな使ってそうなサービスですね. インターンや本選考の面談イベントが, 1日で複数企業とお話しできて業界研究もできるため, 非常に役立ちました. 面談イベントは参加で5000円とかもらえるので良いことづくめです. みなさん参加しましょう. また, 社員の皆様が大学まで来てくださる機会もあり, ランチをご馳走になれて有り難かったです.

逆求人 (ジースタイラス )

サポーターズとは若干違い, SIやソフトウェアメーカーも含めた様々な分野の企業さんがいらっしゃいます. イベント毎に顔ぶれが違うので, ハマれば得られるものは大きいです. 内定先の企業も, 逆求人で面談したことがうまく働いたと考えています.

キャリアセレクト

メンターの方が学生毎に割り当てられ, Facebookなどで頻繁に連絡してくれます. 就活の戦略やエントリーする企業群の選定においてお世話になりました. また, Web系企業については選考の仲介を行っていて, ESや一次面接が免除になるケースもあるそうです.

Wantedly

スタートアップや長期インターンの募集が多いため, 就活自体にはあまり使いませんでしたが, プロフィールをまとめてポートフォリオ的に活用してました. また, 近年では大企業や外資系企業も一部参入しているようです.

ONE CAREER

ESや選考フローを確認するために用いました. Web系企業の情報が豊富なのでオススメです.

Labbase

研究重視であり, 比較的大手企業からもスカウトが来るので院生で研究職志望の人には良いと思います.

ニクリーチ

タダ飯食べたくて登録しましたが, 交通費がつらくなったので1回しか行きませんでした...

LinkedIn

G社/A社/M社以外の, 新卒を大っぴらに募集していない外資系企業を視野に入れるなら必須だと思います. 登録してプロフィールを適当に記入し, 転職関心シグナル的なのをオンにすると意外とオファーが来ます. 興味があったオファーに対し, 「新卒だがエントリーできるか」という旨を伝えた上で, 向こうの了解が得られたらCVを渡し, 選考フローに入る形でした. やり取りは大体英語です. たまに理解しがたいオファーが来ます. e.g. ギリシャでコールセンター業務やりませんか?

外資就活ドットコム

意外とマイナーな外資系の情報があるので見ていました. 候補企業の新卒採用の有無をチェックするのにも役立ちました. 企業情報以外については, なんとなく意識高いので東京カレンダー的に楽しんでました.

みんしゅう

読みものとして電車の中とかで読んでました.

転職サービス (Indeedなど)

5年目/10年目社員の給与レンジや, 志望する業務内容が存在し, 求人として出ているか (=需要があるか), 要件となる技術スタックや経験など, 新卒の募集要項では明らかにならない情報を確認するのに用いました. 得られた情報は本選考での面談や逆質問で活用できるのでオススメです.

Vorkers

特定のサービスに登録すると無料で見れて, 情報量が多いので使っていました. ですが, 投稿者のプロファイル (退職済みか現役かや, 就労形態など)によって, 内容にバイアスは含まれるため, よく確認すべきです.

学術会議/テックカンファ

学会やテックカンファのスポンサーブースにいる企業は, 少なくともその領域に興味を持っていることはわかるので業界分析の参考になりました. JSAIとかだと長期インターンの青田刈りもしているっぽいですね. 僕は一切お声がかかりませんでした.

エントリーした企業

選考を受けた主な会社は以下の通りです. 社名は伏せてありますが, 個別に連絡頂ければ教えられます.

国内Web系 A社 (内定先)

ポータルサイトを運営している企業です. 扱っているサービス/データの規模が大きいことや, 研究開発における国際会議での発表実績が多く, 業界では珍しくHCI領域でのトップカンファ発表も行っていることから, エントリーを決めました.
フローは 技術者面談 (オンライン) -> コーディングテスト, 計数問題 -> プレゼン面接 -> 最終面接という形でした.
コーディングテストは比較的簡単なのから競プロの知識が必要なものまで, 何種類かありました. 計数問題は院試レベルのそんな難しくない内容です.
プレゼン面接は直前に行った国際会議の内容ベースで行い, 研究の概観を理解できるように図を多めに, ゆっくり話すことを心がけました.
ちなみに国際会議で某国に行った話はどの面接でも鉄板ネタになったので, 変な場所で開催される会議にはぜひ参加しましょう.

エントリーした中で一番自身のやりたい内容を理解してくれて, インターンや選考過程でお会いした社員さんの印象がとても良かったことから, 志望するキャリアパスが最も実現でき, 成長の可能性がある企業だと考え, 内々定を承諾いたしました.

国内Web系 B社

アドテクとかをやっている会社です. 面談イベントで知り合い, ES/一次面接免除の早期エントリーのお誘いが来たのと, オフィス環境が魅力的だったのでエントリーしました.
あまり自信がアドテクに興味がなかったこともあり, 二次面接では志望動機やマッチングについて結構詰められましたが, 通っていました. しかし3次面接でやっぱり落ちました.

国内Web系 C社

SNSをやってたり, ソシャゲを運用している会社です. 逆求人イベントで知り合い, 主催イベントに参加したところ社員さん達の印象が良かったのでエントリーしました. フローは人事面接 (免除) -> 技術面接 -> マネージャ面接 -> 役員面接だった気がします.
技術面接はコーディングでなく, データベース技術についての問題を投げられ, それについてディスカッションする形式で, 受けた企業の中でもかなり難易度の高い試験だったと思います. 冷や汗かきました.
最終の役員面接がA社の内定承諾期間ギリギリだったため, 面接の場で役員の方と今後のキャリアパスを含めて相談した結果, 研究をやりたいならA社に行くべきだという意見を頂き, 辞退することにしました.
人事の方も親身になって相談に乗ってくれて, 選考を通して一番印象が良かった企業です.

国内Web系 D社研究所

本社のエンジニア採用でなく, 研究所単体でも求人を出していて, HCI選考のマスター以上を以外の業務経験が要件としてなかったので応募しましたが落ちました. 受けた企業の中でコーディングテストが一番むずかった気がします.

国内ソフトウェア開発企業 E社

データ分析のためのソフトウェアを開発してる企業です. 業務内容が自身の研究に近位ことからエントリーしました.
面談では是非受けていただきたいとの評価でしたが, 1次面接で「人格面で弊社とマッチングしない」という理由で祈られました. 何故でしょう. 一次面接ではコーディング面接がありました.

外資系ソフトウェア開発企業 F社

RPAとかやってる会社です. LinkedIn経由でスカウトを頂き, 業務内容に興味を持ったのでエントリーしました. 面接は私服OKじゃない気配がしたので, 唯一スーツを着ました. 面接ではホワイトボードコーディングやアルゴリズムに関する口頭試問がありました. また, 英会話をする場面がありテンパりました. 外資系って感じですね.
入社後の待遇などは非常に魅力的でしたが, 職種がコンサル or サポートエンジニアに限定されるため, 新卒では現在最も興味を持っていることをやり切りたいと考え, 辞退しました.

外資系ソフトウェア開発企業 G社

データ分析用の可視化ツールをやっている会社です. LinkedIn経由でスカウトを頂きましたが, 新卒の募集はほとんどしておらず, 求人が出次第連絡するとのことでした. 自身の研究内容的にも非常にマッチしていて, 憧れていた企業ではあったため, 求人があった場合確実にエントリーはしていたと思います.

外資系ソフトウェア開発企業 H社

デザイン用のソフトウェア開発を行っている会社です. Wantedly経由でスカウトを頂きました. 高専在学時より憧れていた企業であり, スカウトが来た時は小躍りしました. しかし, 面談にて基本的に第二新卒以降での採用ということと, 開発エンジニアは国内だとリファラル採用が中心という旨を伺ったため, 別の機会でチャレンジしたいと思います.

雑感

よかったこと

エンジニア採用では, 華々しい実績がなくても, 想像より研究内容を評価してくれる印象があります. 逆に, 研究内容のウケが悪かったり, やりたいことと違う職種を面談で提示された企業に関しては, 選考を受けない選択ができました. どの会社も選考過程で自社とのマッチングを重視していると感じました. また, 生粋のコミュ障陰キャである私自身としては, その会社で毎日働くことになる以上, どんなに待遇が良くても少しでも悪い印象を受けた企業は受けるべきでは無いと感じました. メンタルが強ければ別に大丈夫だと思うので, 年収高いところに行けばいいと思います.

技術力に関しては, 情報科学修士レベルであれば, コーディング面接で切られることは無いと思います. おそらくESの段階で技術力でのフィルタリングは終わっていて, コンピュータサイエンスへの基礎的理解の能力や, 面接官とのディスカッションの能力を評価される感じだと思います.

つらかったこと

結果的にエントリーした企業数は少なかったですが, 業界分析やインターン選考, 面談を含めるとかなり足と時間は使ったと思います. また, 祈られた時のダメージは多く, だいぶ精神病みました. 就活には向いてないと思います. もう一回やるとすれば, 短期決戦になるよう心がけたいですね.
あと選考を辞退するのがつらかったです. 辞退したくないから受けなかった志望度高い企業もいくつかあります.

また, HCI関連の研究開発職は国内ではかなり需要が少なく, 研究テーマとしてのウケも良くないです (面談イベントで露骨にバカにされたりした). 口頭での説明のみの場合, 理解されないケースも多くありました. Web系の面接であれば, 動くデモを持ち込むのが良いと思います.
フロントエンドエンジニアや, データサイエンティスト志望だと解釈される場合も多かったです. しかし, 自身としては20代はやりたいことに費やしてもいいと感じています. そして, 大学院修了と同時に研究を中止するのではなく, 学業の延長線上に労働があることが理想であったため, 業務内容については妥協しないつもりで就活をしてきました. その辺は人それぞれだと思います.

オススメすること

  • 面談イベントには積極的に参加しましょう
  • インターンの参加経験は精神的支柱になるので, B3, M1では積極的に応募しましょう
  • 闇雲にエントリーするよりも, インターネッツを駆使して情報を集めるべき
  • 外資系の求人は意外とあるので, 諦めずに探してみましょう. LinkedInとか転職サイトは穴場です.
  • 何者でもないなら, 研究に打ち込みましょう
  • エンジニア就活ではウソをつく必要はなく, ついても深掘りされるので多分バレます. 自分程度の能力でも大丈夫だったので本当のことを話しましょう.
  • ガクチカや開発経験はどの面接でも問われるので, それらの経験をストーリーとして語れる準備はしておきましょう (エピソード集みたいな.mdファイルを作り, 面接ごとに適切そうなのを選んで喋っていました)
  • ワークライフバランスも, 重視するかで受ける企業群が変わると思うので良く考えましょう. (自身は重視しました)

おわりに

雑多な内容になってしまいましたが, どなたかの参考になれば幸いです.
質問などありましたらtwitter (@motttey)にDMください. 金がないのでウィッシュリストから何かください

「住みたい街」を可視化する

動機

「住みたい街」ランキングというものが毎年公開されますね. しかし, 上位の街のいくつか (目黒, 恵比寿, 横浜)に住んだ上でランキングを見ると, 2018年版のランキングで1位の「横浜」が一体横浜市内のどこを指すのかが曖昧だったりと, 「どのような街」が住みたい街なのかは不透明だと感じます.
そのため, 本記事では住みたい街を地図上に可視化し, 「住みたい街」の定量化を目指します.

前提

住みたい街は, 以下のような基準
(住みたい街ランキング2018 関東 総合ランキング)
で集計されているらしいです.

  • 調査対象: 関東圏在住の20-49歳の男女7000名
  • 駅名を回答

また, マンションなどの物件名決定には, 以下のような不動産の表示に関する公正競争規約に基づく制約が存在します.

  1. 慣例として用いられている地名/歴史上の地名
  2. 最寄り駅や最寄停留所の名称 -> 市名/通称, 方角 (○○東)を含めると使用可能
  3. 直線距離で300m以内に存在する公園などの施設名
  4. 物件が面する街道/道路/坂の名称

データ

以下のデータを, スクレイピングにより取得し, 可視化に用いました.

  1. SUUMO: 住みたい町の上位ランキングを取得: 1位から130位までの名前 (駅名)を取得
  2. 住まいサーフィン: マンション名の取得: 1. で得た各駅名について検索, 取得ミス/一部地名 (東京駅など)は除外
  3. GoogleMap API: 地理情報の取得: 126地名, 10035物件データを取得/可視化

可視化手法

取得した地理情報と物件名データを
TopoJSONによる地図上にマッピングしました. 可視化ライブラリにはD3.jsを用いました.

物件名 + 地理情報 に加えて以下の属性を用いました.

  • num: 物件数
  • rank: 住みたい街ランキングにおける順位
  • type: 住みたい街の名前が自治体名か否かを表すラベル
  • area: 地名毎の物件集合の凸包の面積
  • sparse: 物件の散らばり: 凸包の面積 / 物件数
  • distance: 対応する駅名からの平均距離
  • tokyo-distance: 都心 (東京駅) からの平均距離

結果

以下のサイトに, 可視化結果をデプロイしてあります. 地図上のポリゴン (凸包)が対応する自治体における物件の範囲に対応し, その色が順位を表します(上位が赤, 下位が緑). 各自治体の色は地価に対応します. (国土交通省,平成29年地価公示 全国の地価動向より)

popular-town-visualization.firebaseapp.com

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「住みたい街」の可視化結果

ソースコードGithubに上げてあります.
github.com

また, 各属性に関する散布図行列を以下に示します. 各データはtypeに基づいて着色され, 青色のデータが自治体名に対応する物件, オレンジのデータがそうでない物件を表します.
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住みたい街に関する各属性の散布図行列

知見

順位と各属性値の間の関係

自治体名に対応する地名では, 順位と各属性値の間に関係に弱い相関が確認されました.

  • 駅からの距離(p=-0.47)
  • 物件数 (p=-0.45)
  • 東京からの距離 (p=0.36)

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相関分析 (自治体に対応する地名)
理由として, "横浜"や"浦和"などの自治体名はマンション名に使用できる範囲が広いことから, ネームバリューの影響が考えられます.

一方で, 駅名にしか対応しない地名では, これらの順位と各属性間の相関は殆ど見受けられませんでした. 理由としては, 前述の名称決定のルールにおいて, 地名を使用できる地理的範囲が狭いことや, 平均物件数自体が少ないことが考えられます.

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相関分析 (駅名のみに対応する地名)

沿線価値との関係

可視化結果より, 順位の高い街は以下のような特定路線沿線の, 郊外地域に散見されます.

そのため, 沿線のイメージや知名度が住みたい街の順位に関連することが考えられます. また, 多くの街は山手線の沿線/外側に集中して存在しています. この原因として, 千代田区/中央区/港区の地名は地価に対するイメージから敬遠される傾向にあることが考えられます. また, 地下鉄駅などは駅名自体の知名度が低いとも解釈できます.
以上の結果から, 住みたい街は沿線価値の高い路線の郊外地域に存在すると言えるのではないでしょうか.

優勝

9/8に開催された, 株式会社ミクシィ様主催のgit challenge #9に参加し, 優勝してきました🏅

いい感じのメダルも頂きました. 小中高専ずっと帰宅部故の初受賞のため, なんだかウキウキしますね, 家宝にすっぺ.
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はじめに

  • git challenge, 2人一組で, 制限時間内で, gitに関する問題を解決していくイベントです. 解いた問題数や質に応じて順位が付きます.

参加したきっかけ

  • 逆求人で御社の方に教えてもらった
  • 複雑なブランチとか扱ったことないので, 深くgitについて知りたかった
  • プロコン的なものに挑戦して見たかったけど, 競プロが苦手 (gitは普段から使ってるしいけるやろみたいな)

スペック

  • 高専 から 地方国立大に編入, 現在M1
  • Gitは普段の開発やバイトでも使うが, チーム開発よりもコード管理目的. (branchは少なく, あまりconflictが起こらない)
  • サークルでのチーム開発とかではよくリポジトリが壊れる
  • 高専の卒研でバージョン管理システムのUIとかやった縁で, オライリーのgit本とか内部構造にもちょっと触れた記憶がある (これがうまく働いた)
  • 暑すぎてヘロヘロ😩

当日の流れ

  • 相方の人と顔合わせ (M1の人, 2人とも研究テーマがHCI系なので結構話があった)
  • キーノート, チュートリアル
  • お昼ごはん (9/8はオリンピックがTOKYOに決まった日なので和食でした): たけのこが美味しい

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  • 午後: 競技, 二人ひと組で黙々と問題を解いてpush, Jenkinsで採点スクリプト走らせて, passしたら難易度に応じて点が入ります. 点の数で順位が決まります

問題は⭐️~⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️まで15問ぐらいありました. ⭐️⭐️⭐️⭐️以降はマジでむずかったです,

  • 競技終了後: 問題解決からの, ご飯と酒が食べられる 🏆.

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知見

  • Plumbing Commands周りの便利さがよくわかりました, 何が壊れても諦めない心 👊
  • 解説聞いて, rebaseとかrevertともやっていけそうな気がしました.
  • conflict解消についても丁寧に解説頂いたので有難かったです
  • 3時間ぐらいでgitの機能を本当にフル活用します, 誇張じゃなく以下にあるコマンドは大体使った記憶が Git - Reference

感想

  • 途中でトップになった時はびっくりしました. 逃げ切りをかけた終了直前で⭐️⭐️⭐️を相方が通した時のワクワク感すごかったです. ⭐️⭐️⭐️あと1個残ってたのも通したかったです...
  • twitterで10年近くフォローしてる方とオフ会できました
  • ⭐️~⭐️⭐️はうまい具合に分担しましたが, ⭐️⭐️⭐️あたりで詰まったら, 相方の人と問題を交換したりしたのがうまく働いた. コミュニケーション大事ですね🤝
  • ⭐️⭐️⭐️までの問題しか解けなかったため, ⭐️⭐️⭐️⭐️以上のを一個ぐらい解いて勝ってたらクールだったと思う.
  • ご飯で出てきたカレーがめっちゃ旨いけど辛いので油断しないように
  • 社員さんが結構グイグイきてくれたので陰キャにも優しい雰囲気があった (pushミスってリポジトリをリセットするときにショートコントをします)

おわりに

お昼ぐらいまではまさか勝てると思ってなかったので, いまでもびっくりです.
貴重な機会をくださったミクシィのみなさま & 一緒に戦ってくれた相方や懇親会とかでお話できた皆様に感謝を申し上げます. 1dayですが絶対応募するべきイベントだと思うので, 皆さんもgitで優勝しよう👊

2016

今年が終わりますね.

ある意味では区切りとなる年であったと思います

あったこと

ざっくりしてますね.

抱負
来年は研究室決まるので研究頑張ります.
あと絵とか趣味についても次の段階へと進みたいなと思いますね.

pixivユーザがピクシブ株式会社で働いてきた話

はじめに

 お久しぶりです。望月ことmottteyです。
8月29日から9月2日の5日間でピクシブ株式会社のインターンシップ「pixiv 2016 SUMMER BOOT CAMP」にエンジニアとして参加させていただきました。


Who



なぜ応募したか

 pixivは2008年と比較的古くから利用しているサービスであり、愛着があったことが挙げられます。インターンについても各ブログでの参加エントリを見て前々から参加したいと思っていました。
 そのため、ユーザとしてpixivの裏側とを知りたいという思いと、情報系の学生として大規模サービスにおけるチームでのサービスの企画・開発を学びたいという思いからインターンに応募*1しました。

 あと1回本社にお邪魔したことがあるのも応募したきっかけです。


ES

 正直エンジニア的な実績が皆無に近くヤバかったので熱意で推そうとpixivのアカウントを載せました。そしたら通りました。

面接

 とてもほのぼのとしていました。一方でここで話したことが存外配属に反映される印象があります。

やったこと

 最初に、事前に指示されていた2分程度のスライドを用いた自己紹介がありました。とりあえずエンジニア参加の方々の技術力がガチすぎたので、自分はいかにドラえもんが好きかをアピールしました。
 その後に配属先が発表され、自分はpixivisonチームに配属されました。pixivisionとは、pixivに投稿されたイラストや漫画、小説を中心的に扱うメディアサイトです。実は自分も何回か載ったことがあり*2*3馴染みがあったので純粋に嬉しかったです。

 インターンシップの要項には技術職(エンジニア)の業務内容として以下のようなことが書いてありますが、本当に本番環境にコードが取り込まれます。故に責任重大。

当社の様々なサービスの機能追加・修正。プロトタイプの企画・作成
当社の本番環境にコードが取り込まれる開発を行います
当社のもつ大量の情報を扱い、数値調査をし課題を発見、解決

 自身の業務としてはpixivision関連の機能の問題点の解消・新たな機能の追加が割り当てられました。
行った職種としてはインターンサイト記載のだとウェブアプリケーションエンジニアとかUX/UIエンジニアに近いと思います。主な仕様言語/ツールはPHP/JavaScript/jQueryあたりです。

 これらの業務を行う前に、メンターさんからその目的と想定される利用ケースの説明をいただけたため、とてもスムーズに設計を行うことができました。
また、実装についても「何が重要なのか」「なぜ動かないか」を重点とした的確なアドバイスを頂き、不自由なく進められました。
一部のタスクについては実装したものを総合職の方々にレビューして頂いたため、より利用者の要望を掘り下げた設計が行えました。プルリクが本番環境にマージされた時の快感はすごかったです。
 pixivは金曜日は基本的にデプロイを行わないため、全日までに実装を終え、最終成果発表へ向けたプレゼンテーションの作成と、発表練習を行いました。
本番では発表時間が微妙に足りなくてグダグダになってしまいましたが、温かい目で見守ってくださった社員の皆様に感謝です。正直金曜の帰路についたとき良い意味で泣きそうになりましたし、素晴らしい5日間であったと思います。

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イベント

上述の業務の他に適宜イベントがありました。代表的なものをかいつまんで説明します。

懇親会

 初日夜にあるインターン生同士とか社員さんとの交流会です。🍣とか🍰とかが食べ放題です。ごちそうさまでした。

講義

 2日目午前技術職採用のメンバーでエンジニアさんによる特別講義を受講しました。pixivの開発環境におけるタスク管理やサービスの立ち上げに関するお話を聞けて非常に参考に成りました。
また、恥ずかしながらISUCONが具体的にどういうものなのかをここで知りました。バックエンドもがんばります。

会議

 3日目に社内で行われている会議に参加させて頂きました。内容は社外秘であるため書けませんがわっしょい。

打ち上げ

 成果発表の後にあります。緊張が解けた後だったのでわいわいしました。🐔🍺ごちそうさまでした。酒のんだ後は会社戻ってずっと喋ってました。

反省点

  • 英字キーボード: PCが直前に壊れていたのでお借りしました。マスターしなければ...
  • 環境構築: 日頃の意識の低さが祟りました
  • git : リモートリポジトリの扱い回りでご迷惑おかけしました。あとGitHubめっちゃ便利ですね。
  • 例外潰し : デプロイ後に例外が見つかり心臓止まるかと思いました。対応してくださったメンターの方に感謝致します。

pixivが私にくれたもの

  • Webアプリケーションについての知識: フレームワークからコーディングスタイルまで、非常に勉強になりました。

  • UX/UI改善のための設計手法: 本とかで読んでなんとなく理解していた概念を実践を通して深く理解できました。
  • コードレビュー: とにかく丁寧です。typoが多かったせいでコミット数が恐ろしいことに
  • チーム開発におけるVCSの実践: VCSはわりと積極的に使ってきたつもりでしたが全然未熟だったなと思いました。オプションとか勉強しないとな...
  • 昼飯: 社内でお弁当がでたりとかおごってもらったりとか。おいしい。
  • ラーメン: 退社後に食べました。会社の近くに家系(代々木商店)あるのでおすすめです。おいしい。
  • フリードリンク: ドリンクは無料で飲めます。綾鷹派なので飲みまくりでした。
  • みそしる: ドリンクバーの横にみそしるサーバーが社内にあります。おいしい。

所感

 最初は5日間生き残れるのか非常に不安でしたが、皆さんとても優しい方でありがたかったと共に、全員がサービスのこと、そしてユーザのことを真剣に考えてると感じ、理想的な職場という印象を受けました。
あと社員さんとインターン生共通してキャラがとても濃いです。全員インターネット上で何かしらバズったことありそう。
 加えて日常的にイラストを描き、pixivと関連サービスに投稿している方が多く*4、開発・運営者であると同時にユーザでもあるから2000万人が利用するサービス*5を日々開発し続けられるのだなと思いました。業務終了後に社員同士で絵を見せ合うイベントとかもあり、機会があったら参加してみたいなーと思いました。

感謝

 情報系の学生として、そして創作を行うものとして、このインターンはかけがえのないものであったと思います。また、長年利用してきたサービスに対してデプロイを行えたことは人生の宝です。
 素敵なインターンの機会を提供してくだったピクシブ社員の皆様方に多大なる感謝を申し上げます。特にメンターのuchienさんとshocotaさん、pixivisionチームのikariさんとabeshiさん、本当にありがとうございました。
 また、ランチや打ち上げでの会話がSEOやグロースハック周りのネタで盛り上がったこともあり、次のpixivインターンに総合職として参加したくなりましたね。

おわりに

 というようなインターンですので、Web系のことに興味があり、なおかつイラストなどの創作をやっているという方にはマストだと思います。ぜひ応募しましょう。

*1:リクナビに情報が掲載されて即エントリした記憶

*2:http://www.pixivision.net/ja/a/825

*3:http://www.pixivision.net/ja/a/991

*4:アカウント晒したのが恥ずかしくなるほどに絵がうまい方が多い

*5:9/2の午前6時に超えたらしい、達成の瞬間を目撃したかった